2020年6月3日

マーケティングの重要な指標、ROIとは、どんな意味?

ビジネスの世界では、新しい事業を始める時に、投資対効果が常に問われてきます。
投資という費用を使うのですから、どの程度の見返りが期待できるのかを掴むことは、当然のことです。
その中で、「ROI」という言葉を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
特に最近はインターネットを活用した広告戦略も増えており、この「ROI」というキーワードにますます注目が集まっています、
そこで、ここではこの「ROI」について見て行くことにします。

ROIとは

「ROI」は「Return On Investment」の略語で「投資利益率」、あるいは「投資収益率」という言葉で使われています。
ある事業や商品・サービスの展開において、掛けた投資でどの程度の利益を生み出すことができたかを把握することができる指標と解釈されています。

具体的な計算式は
投資によって生み出された利益額/投資額=ROI(%)
となります。

例を挙げると、「投資によって生み出された利益額」が100万円、「投資額」が50万円とした場合のROIは、200%という計算結果になります。
この計算結果でROIの効果を掴めることになるのですが、計算結果の数値が高ければそれだけ高い投資効果が出てきていると判断できるわけです。

ROIは、どのようなケースで使われているか?

投資効果の判断指標となるROIは、最近では、広告戦力を展開する場面で、その広告効果を測る指標として使われるケースが増えています。

この展開においては「投資に生み出された利益額」は「広告によって生まれた利益」と置き換えられ、
広告によって生まれた利益/広告費用=ROI」という計算式となり、その結果が導き出されることになります。

しかし、最近の広告戦略の多くがインターネット広告にシフトしていることから「平均利益額」×「コンバージョン数」として、投資効果を計る計算式が使われることが少なくありません。

ROIとROAS

前述した「平均利益額」×「コンバージョン数」は「利益」という値ではなく、広告ないしは投資で作り出された「売上」を基準とした指標が使われることがあります。

ここでて来る考え方が「ROAS」というものです。
「ROAS」は「Return On Investment」の略語で知られており、投資した費用に対する効果を把握するための指標です。
広告戦略においては、投資した広告費に対し、その広告でどれだけの売上を導き出すことができたかを知る指標です。

計算式は、
広告経由の売上÷広告費×100=ROAS
となります。

この広告から生まれた売上を広告費を割りROASを導き出すことができます。
売上が100万円で、この売上に掛けた50万円だとすると、
100万円÷50万円×100=200となります。

広告費に対し200%の売上を作り出せたという結果が導き出されるわけです。

ROIとROASの長所・短所

しかし、これらROIとROASはそれぞれ特徴があり、長所・短所が存在することも事実です。

ROIの長所は、複数の事業を手掛けている場合に、その中でどの事業が採算性が高いかを利益の観点から可視化で判断できることです。
しかし、利益ベースである判断するが故に端緒となってしまうこともあります。
それは、個人やある部門が担当する事業で、且つ短期的な利益を注視してしまう傾向に陥り、企業のトータル的な戦略や長期的な事業の利益のあり方が軽視されてしまうきらいがあります。

特に発生しやすいケースが新規開発の分野において言えることです。
企業はどうしてもROIが高い分野に投資してしまう傾向が強く、今まで手掛けたこのない画期的な投資分野においては、ROIでの費用対効果が悪くなってしまいがちです。
これが大きなデメリットと言えるでしょう。

一方のROASは、費用対効果を売上から見る指標ですが、過去の売上実績や将来の売上予測のデータが比較的に把握しやすくなっています。
そのために、投資効果を測定するための判断指標としてROIよりもかなり納得性の高い点がROASの長所と言えます。
但し、ROIと比べてあまり知られていない指標でもある点が短所です。
あまりにも知名度が低いために、経営層が費用対効果の指標で事業判断を求める際に誤解が生じるリスクがあります。

このようにROIとROASはかなり似通っている指標のために、混同されてしまうことが少なくありません。
投資に対して、どれだけの成果を生み出せたかと把握する手法ではあるものの、ROIは利益の効果を見る指標に対し、ROASは売上の効果を掴む指標として、正しく理解しておくことが必要です。

ROIの分析方法

本テーマであるROIは、投資でどの程度の成果を出せるかを把握するための指標ですが、算出して終了といううわけではありません。
さらに、投資のより高めていくための分析として活用することが重要です。
その結果から、マーケティングにおける投資額を減らしたり、製品原価や価格を下げること、販売機会を増やす1つひとつの対策に活用するべきなのです。

市場の状況や競合相手の動向等も照らし合わせながら、どの課題に対してどの程度の目標を設定すべきなのか、そしてその目標達成のための施策の在り方も導き出すことができるようになります。
このように、ROIで導き出された指標に基づき、自社のあるべき姿、方向性を確立していくことができるのです。